Whachu Talkin’ Bout Wednesdays--Red Hot Chili Peppers

今週はレッチリRed Hot Chili Peppers)の1991年のスマッシュ・ヒット・アルバム、“Blood Sugar Sex Magik” のオープニングを飾る “Power of Equality” から、これまたオープニングの一行。


I've got a soul that can not sleep, at night when something just ain't right

「これぐらい簡単!」と多くの諸君が感じるだろうこの一文。ここでは、この文中の“ain't”に的を絞ってみてみよう。基本的にこの “ain't” は “isn't” のスラング・ヴァージョンですが、単に “isn't” を使うより、態度や姿勢、意思などの色付けが施された印象となります。この言葉の何が面白いって、英語圏諸国の人々はこれが正統なきちんとした英語ではない(スラング)と皆知っているにも関わらず、日常的に頻繁に使うところ。ここでいくつかの例を挙げてみよう。

例) * “That ain't right” = That isn't right
* “Being a salaryman ain't easy” = Being a salaryman isn't easy
* “If it ain't broke, don't fix it” = If it isn't broken, don't fix it

これらの例文中、“ain't” は単に “isn't” を言い換えたものに過ぎないと思われがちだけど、既に説明した通り、“ain't” を使った文の方がより口語的、個性的で、気持ちが入っている印象になる。例えば・・・

* “That ain't right” = That isn't right
“そんな訳ないだろ“ = “それは正しくない“

ほら、もっと感情が入った印象でしょ?

そんな理由から、コメディーや歌詞などで意思/感情を表現する際には “isn't” よりも “ain't” が好んで使われる。さて、ここで今回のお題目“Power of Equality”に戻ると、Anthony Kiedis は人種差別や不平等に対する怒りを曲中で表現していた。 ここで “isn’t” よりも “ain’t” を使うことにより、彼はこの感情の爆発をより深くリスナーへ伝えたと言えるだろう。