Fordlandia/ Johann Johannsson

ビョークシガーロスの出身国として有名なアイスランドの現代音楽家Johann Johannssonが2年ぶりのニューアルバムをリリースします!


Johann Johannssonは、Apparrat Organ Quartetのメンバーであり、Sigur Rosmumのメンバーも参加するアーティスト集団/レーベルであるKitchen Motorsの創設メンバーでもあります。
音楽を中心にアートや演劇など幅広い活動を行っており、精力的に来日公演も行っています。


2年ぶりとなるこのニューアルバムは、IBMの大型コンピューターにインスパイアされて作られた"IBM 1401, A User's Manual"に続く3部作の2作目となります。
今作も、彼の社会的な興味が反映されたものとなっており、「破綻したユートピア」と「ロケット工学」がテーマになっているそうです。
アルバムのタイトルであり、1曲目のタイトルでもある"Fordlandia"とは、1920年代にヘンリー・フォードがアマゾンに設立した車のタイヤ用のゴムの為の巨大プランテーションの名前で、異国の地に理想的なアメリカの町を作ろうとした挙句、現地の労働者の反対に合い失敗に終わったという話から発想を得て作られました。
この曲は、総勢50人編成のストリング・オーケストラと共にレコーディングされたそうで、美しく壮大で、その反面悲しい色を持った曲になっています。


社会的な深刻な作品は苦手という方もいるかもしれませんが、ビョークシガーロスなどアイスランドのアーティストに共通される美しい旋律と、壮大なストリングスのアレンジが印象的な素晴らしい作品だと思います。
個人的には、このアルバムを聞いて、日本のMONOとworld's end girlfriendが数年前に出したコラボレーションアルバムを思い出しました。


Johann Johannssonの待望のニューアルバム"Foardlandia"は、11月26日Beggars Japanより発売です!

official HP: http://www.johannjohannsson.com/

Fordlandia [輸入盤CD](CAD2812CD)

Fordlandia [輸入盤CD](CAD2812CD)

written byゴトウ

Greetings From The Broadway/ The Broadways

先月リリースされた、The Broadwaysのデビューアルバム"Greetings From The Broadway"を紹介します!


ロンドン出身の4ピースバンドである彼らは、昨年シングル"Just A Dreamy Day"でデビューしました。
このシングルが、かつてFoalsCrystal Castles、Los Campesinos!も出演したキングストンの人気イベントNew Slangが運営するレーベルからリリースされると、BBC、XFM、Radio1などの人気DJがこぞって彼らを支持し、新人ながらBBCのUK Indie Chartで6位を記録します。
そんな彼らが遂に日本デビューを果たしました。


アルバムは全曲が、ボーカルのDavidとギターのPatrickの共作というクレジットになっているのですが、Davidが紡ぐ現代のイギリスを生きる若者の世界をリアルに表現した歌詞と、Patrickの抜群のメロディセンスが絶妙に絡み合い、彼らならではの、甘酸っぱいギターポップサウンドになっています。
とにかくまぶしいほどの青さとグッドメロディ満載の、良質なポップアルバムです!


ロンドン発の期待の新人、The Broadwaysのアルバム"Greetings From The Broadway"は8月20日、Magnetic Recordsより発売されています!

では、最後にシングル"Just A Dreamy Day"のライブ映像をどうぞ!

myspace: http://www.myspace.com/broadwaysuk

グリーティング・フロム・ザ・ブロードウェイ

グリーティング・フロム・ザ・ブロードウェイ

written by ゴトウ

Dear Silence/ TV On The Radio

今最も旬なプロデューサー、David Sitek率いるNYのロックバンド、TV On The Radioの3rdアルバム"Dear Silence"がリリースされます!!

TV On The Radioは、2001年に結成され2004年にデビューアルバムをリリースすると同時に世界中のプレスの注目を集め、多くの賞を受賞し、The Strokesと共に一躍NYシーン・リバイバルの立役者となります。
2006年リリースのセカンドアルバムは、主要音楽誌のその年のベストアルバムにのきなみランクインしました。
さらにバンドのギタリストである、David Sitekはこの間にプロデューサーとして名を馳せ、今年のNME誌の「未来を担う音楽人TOP50」という特集では、レディオヘッドやM.I.Aを抑えて見事1位に選ばれました。彼がどれだけミュージシャンからの支持を集めているアーティストかは、そのプロデュースワークを聞けばわかります。
BeckNine Inch Nailsのほか、最近ではFoalsのデビューアルバム、女優スカーレット・ヨハンソンのデビューアルバムを手がけ、さらにはMassive Attackの"100th Window"以来の待望の新作をプロデュースすることも決定しています。


この新作"Dear Silence"でもフリージャズ・ソウル・トリップホップなどのジャンルにとらわれないサウンドは健在ながら、ダンサブルなビートが印象的なM3、M7のほか、美しく壮大なM6など、聞きやすいポップな曲も多く収録されています。
TV On The Radioの新作"Dear Silence"は、9月24日発売です!
日本盤にはボートラ2曲に加え、Telepatheによるリミックスが収録されているので、こちらも要チェックです。

ディア・サイエンス

ディア・サイエンス

Journey To The West〜西遊記/Monkey

ギネスブックが認めた「世界でもっとも成功を収めたヴァーチャルなバンド」Gorilazの中心人物、Blurデーモン・アルバーンとコミックアーティストのジェイミー・ヒューイットが新たなプロジェクト、その名も"Monkey"を始動させ、このたびアルバム"Jorney To The West〜西遊記"をリリースします!


このアルバムは、日本でもおなじみの西遊記をテーマに作られ、イギリス・フランス・アメリカで軒並み大絶賛されているサーカス・オペラ"Monkey:Journey To The West"を基に制作されています。
このオペラは、デーモン、ジェイミーのほかに、アメリカ系中国人監督チェン・シゼンの3人によって作られ、デーモンが音楽、ジェイミーが舞台や衣装などのビジュアル面を手がけました。

二人は、何度も中国に足を運び、様々な経験を経てこの作品の制作にとりかかりました。
実際に猿山に登ったり、奥地にまで足を運んだり、ビジュアルや音づくりの参考となりうる書物も大量に買いあさったりしたそうです。
デーモンは、この経験から中国に古来から伝わる伝統音楽のリズムを研究したり、中国民謡の仕組みを学び、彼はこの作品の中で、中国古来から伝わるペンタトニックをかなり忠実に使用して作曲することに成功しています。
また、現地のミュージシャン100人以上と、毛沢東主義のスタジオやかつての共産党本部などでレコーディングを行い、琵琶や古箏など中国固有の楽器の音色をサンプリングしたりと、中国的な要素を大胆にとりこんでいます。
歴史を感じる正統派の中国的なアレンジと、今風のエレクトロなサウンドが絶妙に絡み合い、新しく独特な、素晴らしい作品になっています。


デーモンは、これまでもアフロ・ビートの第一人者であるトニー・アレンとコラボレーションするなど、国やジャンルを超えたコラボレーションに積極的だったこともあり、中国が世界的に台頭してきているこの時代に、彼が中国に興味を抱いたのは自然なことだったのかもしれません。
実際デーモン自身も、「アルバムを作るときは、なにかしら政治的な関心や話題がないと作れない」と話しています。
余談ですが、その政治的社会的関心が多く集まった北京五輪において、彼らの楽曲はBBCのオープニングテーマとして採用されておりこちらhttp://news.bbc.co.uk/sport1/hi/olympics/monkey/でその映像を見ることができます。

また、私は先日ロンドンに数日滞在していたのですが、大型CDショップではどこもこのアルバムを大々的に宣伝し、地下鉄などでも多く広告を見かけたことから、イギリス国内でのこの作品に対する注目度の高さを実感させられました。

Monkeyの"Journey To The West〜西遊記"、国内盤は10月22日発売です!

では、UK版のアルバムトレイラーをどうぞ!

Journey to the West (Dig)

Journey to the West (Dig)

Written By ゴトウ

Artist&Disc Review : The Cool Kids

全米で今最も騒がれているヒップスター・ラップの代表格、ザ・クール・キッズがいよいよデビュー!


Mylo,Prefuse73らを世界に輩出したインターナショナル・ミュージックコンテスト“DIESEL-U-MUSIC 2007”での優勝で注目を浴び、Myspaceのみでのリリースが話題を呼び、XLレコーディングス(Thom York,M.I.A,BasementJaxx,Adele等)との契約までこぎつけたシカゴをベースに活動するMCのChuck InglishとラッパーのMikey Rocksからなるヒップホップ・デュオ、The Cool Kids。


M.I.Aの全米ツアーのサポート・アクトとして抜擢されたことでも注目が集まり、昨年リル・ウェインにもフューチャリングされた彼らはカニエ・ウェスト、ファレル、ルーペ・フィアスコなどの流れを汲むヒップスター・ラップの代表格。
ローリング・ストーン誌の2008年注目TOP10アーティストにもランク・イン。



そんな彼らの今では入手困難な処女作『The Bake Sale』を国内盤のみボーナス・トラック付きの豪華生産限定盤でリリース。ばりばりのオールド・スクールなサウンドとチョップド・アンド・スクリュード的手法による異常にピッチダウンしたリズムとサンプル・ヴォイスが陶酔感を生む極めて中毒性が高いトラックに仕上がっています。




そんな彼らのファースト・アルバム『The Bake Sale』にも収録されている、"Black Mags"のビデオをご覧ください。



Cool Kids - Black Mags official music video




The Cool Kids
http://www.coolxkids.com/



Bake Sale

Bake Sale


Written By Lotus

Disc Review: Chemisty Of Common Life/ Fucked Up

お久しぶりです!
前のエントリーからずいぶん経ってしまいましたね。
サマソニもとっくに終わり、記憶が既に薄れつつあります。。「サマソニのレポートも書きます!」とか宣言しといてすいません、、(笑)


思い出せる限りでざっと振り返ってみたいと思います。
1日目で特によかったのは、Yelle、Death Cab For CutieThe Verveです。
特にVerveは、既にメンバーの不仲説や、リチャードがソロアルバムの製作を始めるなどの情報が飛び交っているので、
Verveとして見れるのは最初で最後だったのかもしれません。
"Drugs Don't Work"で演奏を止めた時にはヒヤっとさせられましたが、最終的にはリチャード自ら「聞きたいかー!?」とお客さんを煽っていたので安心しました。この"Drugs Don't Work"、"Lucky Man"、"Bitter Sweet Symphony"そして最後の"Love Is Noise"までの流れはとにかく感動しっぱなしでした。

2日目はやはりLate Of The Pierでしょうか。MGMTを頭3曲で諦めた甲斐があった、素晴らしいライブでした。
曲はどれもかっこいいし、メンバーの動きは狂ってるし、見ていてもとても面白かったです。
セットリストも、アルバムの曲ほとんど全部やってましたね。
またLOTPに負けず劣らず、SpiritualizedとJesus Marry Chainも最高でした!
両方ともかなりのベテランですし、ジザメリに至っては再結成ライブだったわけですが、全然まだやれるんじゃないかと思いました。

すでにHadouken!やロスキャン、Cajun Dance PartyThe Kooksその他いくつかのアーティストが単独で再び来日してくれることが発表されていますね。個人的にはなんとしてでもVampire Weekendに再来日していただきたいです。LOTPやMGMTなどとかぶっていてて見れなかったので。。
また、Modular Nightも再び開催されるようで、これはなんとしてでも行きたいと思っております。


その他、私はサマソニ後にJohnny Foreignerのシークレットライブに行ったり、修善寺で開催されている野外レイブフェスmetamorphoseに行ったりしました。
metamorphoseでもNujabesThe Album LeafManuel GottschingGalaxy 2 Galaxyなどの素晴らしいライブを見ることができました。


8月ライブ振り返りはこんな感じでしょうか。
On The One的にはお知らせすることがめっきりないままですが、現在着々と動いておりますので、しばらくお待ちください!

では、最後に10月にリリースされるFucked Upのニューアルバム"The Chemistry Of Common Life"を紹介したいと思います。

カナダはトロント出身、2001年に結成されたFucked Upは結成以来、徹底してヴァイナルでのリリースにこだわり、7インチ・12インチでのシングルを立て続けにリリースしてきました。
このアルバムは、2006年にインディーズ・レーベルJade Treeからリリースされた初のCDアルバムに続く2枚目で、Matadorに移籍後初のアルバムとなります。

ライブでは、激しいモッシュやライブの末、暴動まで起きると言われている彼らですが、サウンドは彼らのルーツであるハードコア色は残しつつも、フルートやオルガン、ブラス隊などの音色を取り入れたり、テクノなどからの影響も見えるなど完全なオリジナルサウンドを作り上げています。
ポリティカルな姿勢や、そのスピリットは、ハードコアバンド然としていますが、そういったジャンルが苦手な方にもある程度聞きやすい雑食サウンドになっていると思います。
No Age、Abe Vigodaなどが好きな方には特におすすめです。

この春には、NMEの"The Future 50"という企画に、David Sitek、M.I.A、Radioheadに続く4位に選ばれている他、「Fucked Upは2008年の”バンド”が本来あるべき姿を問い直してくれる」(NME)、「Fucked Upは間違いなくハードコアを再活性化した」(MOJO)、「本格的、驚異的な、パンクとハードコアとえきすぺりメンタリズムのローラーコースター!」(Kerrang!)など、音楽誌も大注目の彼らのセカンドアルバムは10月6日リリースです!

ザ・ケミストリー・オブ・コモン・ライフ

ザ・ケミストリー・オブ・コモン・ライフ

http://lookingforgold.blogspot.com/

Written by ゴトウ

Hot Chip/ Friendly Fires@duo



渋谷のduoで行われたSummer Sonic Extra vol.12 Hot ChipFriendly Firesのツーマンライブに行ってきました!

80kidzと並んで日本のエレクトロシーンを牽引しているThe LowbrowsのDJで会場が温まった後、まず始めに登場したのは、
先日LotusもレビューしていたFriendly Fires
彼らはサヴィルロウの服屋がお気に入りと語るように、丈の短い変なロンTを着ていたボーカルを除いて、メンバー全員シャツにチノパンやジーンズという至って普通の出で立ち。
1曲目の"Photobooth"から、ボーカルは変なダンスで会場を盛り上げ、その後も“Jump In The Pool"、"On The Board"とどれもキャッチーな曲ばかりで踊りださずにはいられませんでした。
彼等の曲を聴く限りではあまりライブが想像つかなかったのですが、シンセだと思っていた音のほとんどがギターのエフェクトで奏でられていたり、パーカッションも、人力で二人掛かりで複雑なリズムを叩いていて、良い意味で期待を裏切られました。特にギタリストは、その正当派ハンサムな顔からは想像もつかない変態プレイで、エフェクトをかけまくり、シューゲイザーサウンドアヴァンギャルドなノイズをひたすら創り出しており非常にかっこよかったです。
もちろんどこへいってもかかりまくっている"Paris"も披露されましたが、やはり彼等のルーツでもあるハウスミュージックの影響が色濃くでたこの曲では、ハウスのもつ多幸感というかキラキラ感が会場を包んでいました。
今回は、約30分と短いセットでしたし、アルバムリリース前ということもあって会場の盛り上がりもやや物足りないような印象を受けたので、duoの数倍のキャパでやってくれるサマソニではさらなる盛り上がりを期待したいです!
サマソニ東京では、彼等は1日目Dance Stageに登場します。ボーカルのくねくねした独特のダンスにも是非注目していただきたいです!


そして、Hot Chipの登場です。
最新アルバムMade In The Darkの1曲目"Out At The Picture"で始まり、まるでDJがつなげたように、"Shake A Fist"や"And I Was A Boy From School"などの楽曲を途切れることなく巧みにつなげて演奏しており非常にかっこよかったです。
セットリストは、最新アルバムからの曲が中心ということもあり終始アップテンポで攻撃的なビートの曲が多く、昨年のサマソニの時以上に改めて彼等はライブバンドであると思い知らされました。
特にアンコール1曲目の"Ready For The Floor"はライブ仕様にアレンジが変わっており圧巻でした。
最新アルバムはライブ映えする曲ばかりですし、彼等のライブはCDのおしゃれで静的な印象を180度覆す、とてもフィジカルでダイナミックなものになっているので、サマソニでもDance Stageを一大ダンスフロアに変えてくれること間違いなしです。
個人的に大好きな"One Pure Thought"もやってくれ、非常に大満足なライブでした。本当に、フジの余韻がふきとぶくらい素晴らしいライブだったので、同じ時間帯のThe Verveを見るつもりだったサマソニでももう一度見ようかなーと思案中です。
彼等は、サマソニでもFriendly Firesの直後に登場します!

written by ゴトウ